TSピックアップシステムは最初は自分で使うために作りましたが、時経つうちに譲って欲しいという方が現れ、奏功しているうちに「音が良い」「感動した」という評判をいただくようになりました。であるならば、いっそうのこと、製品版を開発しようと思い、一通り出来上がったものを、オークションやHPで紹介したところ、かなりの数が売れ、自分でもビックリすると同時に、一つの問題点が浮き彫りになりました。それは、「個人で作るには数に限界がある」ということです。実際にトップで紹介しているように、度々「在庫切れ」になってしまっています。 そこで、限界を感じつつも、「多くの方に試して頂きたい」という思いから、時間のかかる製作工程をどのように改善してきたのか、基板作りの変遷を中心に紹介します。
1.汎用の基板を使用してみる
まず最初に使ったのが汎用の基板です。
2.エッチングしてみる。
次に配線のパソコンでで描きエッチングする方法を試みました。下写真のような塩化第二鉄(通称エッチング液)を購入して、適当な量をタッパーに移し、基板を湯銭しながら不必要な銅箔を溶かしてゆきます。
3.CNCで基板を切削、穴あけまでしてしまう。
CNCとは、辞書によりますと「Computer Numerical Control」の頭文字をとったもので、「コンピューター数値制御。制御系の中心的な要素としてマイクロコンピューターを用い、CPU(中央処理装置)でプログラム処理を行うようにした数値制御装置」と定義されています。つまり、今まで人手によってくるくる回していた制御部分を、コンピューターとモーターによって正確に速くやってしまうのです。 まともにCNCを購入すると50万円位かかってしまいそうなので、モーターのドライバ基板と、クロステーブルを動かすためのアルミ材パーツを自作することにしました。母体となるフライス盤を検討した結果、安価で精度が良さそうなので、プロクソンの「マイクロ・フライス盤」を購入することにしました。 このフライス盤は、すべて手動でX,Y,Z軸を操作し、削ることができます。手動で何度か基板を作りましたが、かなりの精度で動くことがわかりました。こらなら十分使えると思い、プロクソンのマイクロ・フライスをCNC化することにしました。
自作のCNCですが、すばらしい精度で動いてくれます。