サイトアイコン 酒井 誠・ギタリスト Makoto Sakai

SUNRISE S-2 / サンライズ S2の留め具

アコースティック・ギター用のピックアップとして不動の地位を築いたSUNRISE S-2ですが、弦交換の時やメンテナンスの時に付け外しを繰り返していると必ずや「あのパーツ」が割れて使い物にならなくなります。

そしてこのパーツは意外に高価でまた割れることを考えると購入しにくいですね。

以前からアルミから削り出したパーツを自作して使っていたのですが、このパーツをほしいと言う方がいましたので同じ品質のものができるように作り方を覚書として書いておきます。

通常はCADで作成するのですが、使い慣れているIllustratorでトレースします。この時に作図レイヤ名を「 CAM 」に、原点レイヤ名を「ORIGIN」にするという共通の取り決めがあります。この時にエンドミルの半分の径を考慮して作ります。外枠の場合は1mmのエンドミルで あれば0.5mm外側に描画し、内側にくり抜くところ(今回はねじ穴)は、0.5mm内側に描画します。今回は1.5mmのエンドミルを使用しました。

 

 トレースが終わったらDXFデータに書き出します。

イラストレーターは基本的にベジェ曲線としてデーターを扱いますので、そのデーターを細かな直線データに変換するために「AR_CAD」というフリーソフトを使いました。読み込んだDXFデータのレイヤーがロックされているのでそれを外し、曲線の部分を右クリックして分解【線分化】をします。

 

NCVCで読み込んで、CAMデータに変換します。原点を改めて指定する場合は「編集」>「原点調整」で指定しておきましょう。今回は厚みは4mm、Z軸の切削ステップは0.2㎜にしました。このように単純な平面データの場合はNCVCだけで切削分の奥行きをつけることができます。

 

 ここで新しくボルトを調達しようと思ったら問題発生。ねじ切りの規格がアメリカ規格ユニファイ並目No.4-40 UNCであることが判明。日本ではなかなか売っていません。ということで元々のねじを使うのをやめ、メートルねじM3の20mm前後を使うことにしました。ダイスでねじ切りをするので下穴は2.5mmにしておきます。少し角が鋭利すぎるので、Rをもう少し大きくしました。ネジ穴も後で空けないで済むようにエンドミルの経に合わせて調整しました。

NCVCで吐き出したNCデーターは原点がちょうどアルミ板の接触する部分にあるので、原点に戻るときにアルミをこすって傷つける可能性があるので、コードの最後の部分をテキストエディタで開き「G00Z0」を削除します。
Z1.F1000.
G00Z0
M09
M05
X0Y0 <——-これを削除。
M30
%

 では実際の制作にとりかかりましょう。まず厚み4mmのアルミ材を40mm×40mmに切りCNCフライス盤にセットできるようにしておきます。

 

フライス盤で切削してパーツの形を切り抜きます。

タップでねじ切りします。

これで完成です、SUNRISEに取り付けてみみましょう。元々のプラスチックのものが下記のような感じです。斜めになっており遅かれ早かれ折れそうですね。

今回製作したアルミ材のものです。4mmの母材が垂直を保ってくれます。絶対に折れないでしょう。




このアルミで作ったものを何年も使っていますが、軽くて丈夫です。ネジをビクビクしながら締めなくても良いですし、今のところノントラブルです。ぜひお試しください!

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