8.TSピックアップ・システムの取り付け方
2020/05/29
TSピックアップの取る付け方の一例を紹介します。写真は旧ピックアップシステムの基板になっていますが、システム2、システム3も取り付け方は全く同じです。自分で取り付けてみたいと思われる方は参考にしてみてください。
エンドピンジャックの穴があけられていない場合には、12mmの穴に拡張します。
一部のギターは、すでに12mmの穴が開いていますが、ほとんどはそうではないので、事前にエンドピンジャックを取り付ける穴を加工しておいてください。穴の空け方はいろいろなサイトで紹介していますが、ここでも一例をあげてみます。 まず、付いているエンドピンジャックを布で保護しながらペンチで引き抜きます。
引き抜いた後の穴にこうしたヤスリで面取りをして、塗装クラックが入らないようにします。マスキングテープで保護しておいても良いでしょう。また、穴ではなく木ねじのようなものでとまっているなら、穴の拡張ではなく、マスキングテープで保護した後、一気に12ミリの木工用ドリルで空けてしまっても良いでしょう。穴がある程度あいているものに、木工用ドリルを使うのは危険です。中心がずれて、思わぬところに亀裂が入ったりしますので、この場合は、以下のように慎重に穴を拡張して行ったほうが無難です。
リーマで拡張し、ドリルで奥と出口が同じ径になるように少しずつ広げてゆきます。広げすぎに注意してください。時々定規で測ったり、エンドピンジャックを入れてみて、確認しながら作業しましょう。内側と外側が平衡に均一になるようにあけるためには、根気良く作業を進める必要があります。ゆっくり丁寧にです。サウンドホールから手が入るなら、内側からもリーマで拡張すると穴が均等になると思います。くれぐれも広げすぎに注意してください。
綺麗な丸い穴になったら準備完了です。
TSピックアップシステムの取り付け。
まず、きちんと電源が入るかを確かめます。電池を入れて、エンドピンジャックにモノラルフォンプラグを差し込んでLEDが点灯すれば、とりあえずは通電を確認できます。この時、コンデンサーマイクもピエゾもすでに音を拾うことが出来るので、ギターに取り付ける前に確認しておくと良いでしょう。
ピエゾのボリュームを最大にして、仮止めしながら音を聞いてチェックしてゆきます。密閉型のヘッドフォンで聞きながら作業すると良いでしょう。この時に出来るだけ高音が「スッキリと出る」ポイントを探します。キンキンした音や、低音を必要以上に拾う場所は避けなければなりません。大体下記の位置ぐらいが多くのギターのポイントになっているようです。好みの位置が数箇所見つかるかもしれませんので、マスキングテープで位置をチェックしておきます。
コンデンサーマイクのボリュームを最大にして基板をマスキングテープで仮止めします。 基板の貼り付ける位置がコンデンサーマイクの位置になるので、色々位置を移動しながら、音を確かめてください。この時、低音が出すぎるとハウリングしたり、低音のサスティーンに収まりが付かなかったり、ボコボコした変なアタック音が入ったりしますので、「低音が程よく入る場所」を根気良く探してゆきます。
次の図のような位置に配置すると、ハウリングに強く、低音を拾い過ぎないですむようです。特にハウリングしそうな周波数帯はギターの中を絶えず往復する定常波になっていることが多いので、バックのブレイシングより低くなるように基板を設置してあげます。基板が背部からの音をシャットすると共に、定常波を拾いにくくなり、音質がクリアになると同時にハウリングに強くなるようです。ボリュームはマイナスのドライバーで回せるので、弦を張った後も回せるような位置にボリュームが来るようにし、少し長めのマイナスのドライバーを用意しておくと良いと思います。
次にエンドピンジャックを取り付けます。長めのドライバーを差し込んで誘導してあげると便利です。
ボルトの構造が途中で太くなる部分がちょうど見えるぐらいの位置に、ギターの内側のナットを調整します。中でナットを回すのは難しいので、一旦はずしてから、ナットを回し再び挿入するのを繰り返して、ちょうど良い場所に固定できるようにします。写真のように少し引っ込んだ位置がちょうど良いです。
ワッシャとゴムのリングを入れ・・・
ナットを締め付け、外枠をねじ止めすれば出来上がりです。内側のジャックを差し込む部分が少しだけ出ているぐらいがちょうど良いです。
音を出すときには、まず、コンデンサーとコンタクピエゾのボリュームを最大にしておき、少しずつコンタクトの音を絞り、好みの音が出るようにします。マイナスのドライバーでちょっとだけ回すのがコツです。
このピックアップシステムは、基本的にボリュームは最大にして使います。必ず、どちらかのボリュームが最大になるようにしてください。例えば、コンデンサーマイクを最大にして、コンタクトを少し絞るか。逆にコンタクトを最大にしてコンデンサーを少しだけ絞るかどちらかです。両方ともボリュームを下げてしまいますと、インピーダンスの関係で、バランスが崩れます。
上記説明は、マグネットを追加できる基板で説明していますが、これにマグネットをプラスする場合は、コンデンサーとコンタクトのバランスを完全に取った後で、マグネットを追加すると良いでしょう。基板上のボリュームはほんの少し回すだけでかなり変化してしまいますので、ちょっとだけ回すのがコツです。
ライブで使用しない場合は、好みの音色で構いませんが、ライブの音は幾分マグネットとコンタクトのドンシャリ系の音に調整したほうがうまくゆく場合が多いようです。コンデンサーマイクはかなり感度が良いので、他のピックアップとのバランスを崩すとすぐにハウリングに向かいます。コンタクトやマグネットよりも、コンデンサーマイクが前面に出ないほうがライブ向けの音です。