16.【番外編】ラインアレイ・スピーカーの製作3(デジタル・アンプ編)
2020/05/29
デジタルアンプを製作し、ラインアレイスピーカーに繋いでみました。
デジタルアンプを作る。
デジタルアンプは、D級アンプとも呼ばれていますが、これまでのアナログパワーアンプとは仕組みそのものが違います。まず入力の信号をA-D変換し、高周波のパルスの振幅にします。そのデジタル信号をそのまま増幅して、後にハイカットフィルターでオーディオ信号だけを取り出します。仕組みを考えても、非常にパワフルにスピーカーをドライブできると考えられます。まさにラインアレイスピーカーには適したパワーアンプではないでしょうか。スイッチングで高周波に変換すると、電源になるくらい強力な増幅を得ることができます。 今回は数あるパワーアンプの中から、マルツが販売している、LinkmanのLDAI2092-KITを選んでみました。選んだ理由は2チャネル完全独立回路になっていることや、16個のスピーカーをドライブするので、現在入手できるデジタルアンプの中でも、取り分けパワーがあると感じたからです。スイッチング周波数は400-700kHzで基板ボリュームで変更できるようになっています。2チャンネルが完全に独立しているので、周波数を同期させることはできないようです。 組み立ては、親切なマニュアルが付いているので、わかりやすいですが、基板パターンに狭いところもあり、はんだ付けに熟れていないと難しい部分があります。
電源も、専用のRコアトランスと整流平滑モジュールキットを購入して組み込みました。あまりにもトランスが重いので、通常のアルミケースでは持ちません。木枠の中にさらにアルミ板で仕切り入れました。このトランスは優秀で、容量が大きいだけでなく、その構造は電磁波がほとんど漏れないようです。オーディオ用のトランスとしてはとても良い構造ですね。
放熱と強度を考えて、上側は網にしました。持ち運びやすいように左右に取っ手が付いています。
スピーカー端子と、フォン入力とRCA入力をできるようにしました。安物ですが、簡単なボリュームも付けてみました。周辺パーツは手持ちのもので完成させましたが、後ほどさらに良質のものに変更するつもりです。とりあえず出来上がりましたので、ラインアレイスピーカに繋いで音を出してみました。
デジタルアンプ+ラインアレイスピーカーの音
デジタルアンプというと硬い音のイメージがあるかもしれませんが、これまでのICによるアナログアンプより明らかに温かみのある音が出てきてビックリしました。低音もふくよかであり、何時間聞いていても疲れない音です。どちらかというと真空管アンプに近い音だと感じました。電源投入時のノイズも皆無、無音時のノイズも聞こえませんでした。まずまずの出来だと思います。デジタルアンプは発熱量が極めて少ないです。通常100Wを越えるようなアンプは周囲まで熱くなってしまいますが、このデジタルアンプは付けっぱなしにしても、ケースは冷たいままです。技術は確実に進歩していますし、音の増幅に関してもこうしたデジタル技術も偏見なく取り入れて行きたいと感じる逸品でした。
次は、バスレフの改善と、サブウーハーの取付です。また、ラインアレイがいかにハウリングに強いかも検証してゆきます。