酒井 誠・ギタリスト Makoto Sakai

ギタリスト・酒井 誠ーMakoto Sakai。ZZLの主催者。  初心者歓迎:TSギター教室。

アコギ講座

2.各部の名称やチューニングの仕方、弦の種類

2020/05/29

各部の名称やチューニングの仕方について説明します。後半では弦の種類についても説明しています。

ギター各部の名称
アコースティックギターの名称

徐々に各部の名称について覚えてゆきましょう。ポジションマークは指板の表だけでなく、サイド側にもあることが多いです。通常は3,5,7,9,12,15,17フレットに打ってあります。12フレット以外は奇数なので、覚えやすいです。

チューニングの仕方

ギターのチューニング
チューナーを使い各弦の音程を合わせます。各弦のペグ(糸巻き)は上から見て右回し(時計の針の進む方向)にすると音が高くなります。チューニングメーターを良く見ながら最初は大まかに6弦から1弦まで合わせておきます。再び6弦にもどり今度は正確にメーターの中心になるように合わせます。念入りにもう一度各弦を合わせます。計3回程度繰り返すと良いと思います。
なぜ、3回ほど繰り返すかというと、弦のテンション(張り)によってネックが動くからです。例えば6弦を最初から正確に合わせても、他の弦をチューニングして行くうちにネックにかかるテンションが変わり、その影響で6弦の音程が変わりますので、最初から正確にあわせる事が不可能だからです。よって各弦のチューニングは数回行うことになります。
もし、回し過ぎて高くなってしまったら、いったん合わせる音程より低くしてそれから再び右回しで上げて行き、正確に合うようにします。決して下げながら合わせることが無いようにしてください。そうしないと、ナットの左右でテンションが変わり、弾いてゆく段階で音程が狂いやすくなります。
音叉によるチューニングはこだわりのある方も多いと思いますが、最初はチューナーのほうが良いと思います。音叉は基本的に440Hzの「ラ」の音しか出ないので、これを5弦5フレットのハーモニックスで合わせ、それを基準として各弦をそれぞれ相対的に合わせるしかありません。ハーモニックスやフレットを抑えながら合わせたとしても、テンションの微妙なバランスでネックが動き、正確にあわせるのに苦労するからです。よって、各弦を簡単にあわせることができるチューナーのほうが最初はやりやすく正確に合わせることができると思います。

【弾き終わった後弦は緩めるべきか?】

これについては、いつの時代も賛否両論激論が交わされていて、今だ答えが無いのが現状だと思います。多数派の意見を採用するなら「緩めるほうが良い」という結論になると思いますが、あえて私はライトゲージ程度なら緩める必要は無いと思います。特に毎日のように弾くギターであるなら絶対に緩めないほうが良いと思います。先ほど説明したように弦のテンションによってネックがかなり動くからです。AJロッドといわれるネックの場合はネックの中にボルトが通っています。そのボルトによってある程度ネックのそり具合を変えることができるようになっています。ボルト周囲には空間があり、頻繁に弦を緩めるとネックが落ち着かず、ロッド自体は金属ですから、金属疲労で曲がりが生じ、隙間が大幅に増え、音が悪くなる場合があります。実際そのようになったギターを再び本来の鳴りに戻すために弦を張ってから何時間も弾かなければならなかったという経験もしました。もともと私は緩める派だったのですが、あるリペアマンからアドバイスを受けてから緩めないようにしました。そうすると音に張りが出てきたばかりか、音量も前より安定して出るようになりました。頻繁に緩めていた時は特に1,2弦のプレーン弦が細い音になってしまうことも経験しました。今では緩める、締めるを繰り返したギターはギター本来の鳴りを妨げてしまう可能性があるっことを痛感しています。SQロッド(断面がコの字型の金属の角材が1本、幾分1弦よりに隙間無く埋め込まれている)の場合であっても、木が安定しないことを考えるとやはり、緩めないほうが良いということになります。
ただし、長期間ギターをまったく弾かないのであれば、緩めておいたほうが良いでしょう。先ほどの繰り返して安定しなくなるのとはまた別問題だからです。
私が見てもらったリペアマン曰く、もし弦を緩めずに弾いていて、ネックが反ってしまったら、その時にロッド調整を行い、弦を張った状態でギターを安定させるほうが良いと言っていました。私もこれに同意します。

弦の種類(材質による分類)

 

・ブロンズ弦
金色の弦できらびやかな音色。迫力がある。音がフォスファーより太い。
・フォスファーブロンズ弦
リンの成分が多く、銅色。ツヤのある深みのあるサウンド。ブロンズ弦よりもちも良い。倍音域を多く含んだ音になる。ブロンズ弦より多少値段が高くなります。
・コンパウンド弦(芯線と巻き線の間にナイロンやシルクもいっしょに巻き込んだ弦)
非常にやわらかく押さえやすいが音色もソフト。ガットギター的なニュアンス。 入門用の抑えやすい弦というより、コンパウンドはコンパウンドのよさがあり、ふくよかな音がしますが、音量は少なめです。
・ニッケル弦(巻き線にニッケルを使用した弦)
銀色の弦で主にエレキギターに使用される。多少薄っぺらい印象の音になるがやわらかくサビにくい。マグネットピックアップがよく拾うのであえて、それを狙ってアコギに張る方もおられるようです。
・ナイロン弦(芯線がナイロン製の弦)
クラシックギターやフラメンコギターなどのガットギター専用弦。暖かみのあるふくよかな音色。金属弦に比べ倍音は少なめです。

特殊な場合を除き「ブロンズ弦」か「フォスファーブロンズ弦」を張ることになると思います。好み的には倍音の煌びやかなフォスファーがお勧めです。

弦の種類(太さによる分類)

今はほとんどバラ売りはなくなりました。1~6弦のセットで通常は販売されています。弦が切れた場合は、すべての弦を張り替えるほうが音色にバラつきが無く良いと思います。また、切れない場合も、1ヶ月に1度程度、すべての弦を取り替えることをお勧めします。

一般的に1~6弦のセットで、太さにより「~ゲージ」で表します。

★エクストラ・ライト・ゲージ (.011~.050inch.程度
繊細な音がします。これは良い意味で繊細ではなく、説得力の無いか細い音という意味です。やわらかいので初心者向け。指に力が入らないうちはこれを使って練習しても良いかもしれません。

★ライト・ゲージ (.012~.054inch.程度)
バランスが良く、一番使用されるサイズ。通常はこのゲージを購入すると良いと思います。張り音量バランスが良いです。倍音も程よく万人向けだと思います。

★ミディアムゲージ (.013~.056inch.程度)
迫力のあるサウンド。音量重視の人はお勧めです。しかし、ライトゲージに慣れた人が弾くと、ものすごくテンションが高く感じ、私などは細めのネックのギターに張ったときにネックが壊れるのではないかと思い、一瞬にしてライトゲージに戻した経験があります。音量がありますが、決して煌びやかな音質でなく、芯の通った、ギター全体が響く感じがします。最近のギターはライトゲージまでしか保証していない場合もありますので、注意してください。

★ヘビーゲージ (.014~.058inch.程度)
音が太く、ボリュームは最高レベルに達しますが、堅すぎて押さえるのが大変です。よってコントロールするのも容易ではないのでフィンガーピッカーにはむかないと思います。ドロップチューニング(通常よりも低いチューニング)するような曲の場合、弦のテンションを稼ぐ等、特殊な場合に使用すると良いと思います。最近は売れないためか店に置いていない場合もあります。

ちなみに、私の持っているギターはすべてライトゲージです。6弦をC(ド)までドロップしても余裕で低音が響きますので、通常はライトゲージで十分です。

コーティング弦について

弦を特殊ナノポリマーでコーティングしたものが売られていて、値段は少し高めです。エリクサーが有名ですが、ダダリオやマーチン各社もこぞってコーティング弦を発売するようになりました。すばらしく高寿命を誇っており、新品の煌びやかな音を数ヶ月保つことができる優れものです。しかし、切れるときは他の弦同様に切れてしまうので、(いやむしろなぜか切れやすいかも)もし切れたらコストパフォーマンスは最悪です。チューニングを変えるときなど、高価なのが気になって思い切ってペグを回せないのは私だけではないはずです。音質的には全体的に申し分の無いレベルだと思いますが、ハイフレットを押さえたときに幾分詰まっているような音に感じることがありました。これらのことを踏まえて使ってみてください。

次回は弦の張り替え方です。

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